29日の朝、テレビで北朝鮮ミサイル発射失敗のニュースが流れました。
【ソウル、ワシントン時事】韓国軍合同参謀本部などによると、北朝鮮は29日午前5時半ごろ、西部の北倉周辺から弾道ミサイル1発を発射したが、失敗したもようだ。ミサイルは発射数秒後に空中爆発したとみられるという。韓国軍はミサイルの種類や詳しい状況を分析している。
引用元:北朝鮮のミサイル発射、失敗か=「数秒で爆発」と韓国軍:時事ドットコム
実際どのようなミサイルが何の目的で発射されたのかを調べてみました。
■発射されたミサイルは対艦弾道ミサイル「KN-17」
報道によると発射されたミサイルは対艦弾道ミサイル「KN-17」との見方が強いとのこと。
この「KN-17」というミサイルには前方に可動式の翼があり、落下するまでの間にミサイルの向きを変えることができます。
対艦の名が示すとおり、動いている空母などの標的に合わせて弾道を変えることができます。
■ミサイルの標的は何?どんな目的があるのか?
皆さんもご存じのとおり、ここ数日アメリカの航空母艦「カール・ヴィンソン」が日本近海を航行して北朝鮮にプレッシャーを与え続けています。
非常に単純な話ですが、この「カール・ヴィンソン」をけん制する目的で今回のミサイル発射を行ったのではないかと思われます。
北朝鮮から対艦弾道ミサイルを発射できるという事実を見せつけることにより、容易に空母が北朝鮮に近づくことを防ぐのが目的です。
ミサイルは発射数分後に空中で爆発したとの報道が出ていますが、北朝鮮側の立場になると実際に発射して空母に当ててしまったら大変なことになります。
仮に実際に空母に当てなくてもアメリカの空母の近くや日本の水域にこのタイミングでミサイルを着弾させてしまうことはあまり好ましくないように思います。
それを理由に何らかの制裁やアメリカからの軍事行動を引き起こす可能性もあるわけですから…。
意図的にミサイルを空中で爆発させたという方が正しいと思われます。
■北朝鮮による今回の失敗とは?
今回の失敗といわれる北朝鮮によるミサイル発射は決して技術的な失敗というものを指すのではなく、発射してしまったことが大きな失敗だと考えます。
中国、アメリカで共同して北朝鮮をなだめようとしているこのタイミングで何らかの理由でミサイルを発射してしまった。
何らかの理由が「北朝鮮建国85周年」だったかも知れませんし、他に何らかの意図があったかはわかりません。
しかしながら、少なくともけん制するということであれば実際にミサイルを発射する必要はなく、対艦弾道ミサイルを配備する姿勢をアメリカ側に見せれば良いだけです。
トランプ大統領は28日、ツイッターに「北朝鮮は中国と習近平国家主席の望みを尊重せず、ミサイルを発射したが失敗した。悪いことだ」と投稿し、北朝鮮を非難した。
引用元:<北朝鮮>弾道ミサイル発射 失敗か (毎日新聞) – Yahoo!ニュース
この失敗というコメントを技術的な失敗ととらえるのか、それとも政策的に失敗だったのかはこれからの中国、アメリカの動きで明らかになっていくものと思われます。
■引き続き危険な状況が続く対北朝鮮
今回の報道では独裁国家の怖さというものを強く感じました。
一人の指導者が物事を決めた段階で、その行為が国に対して不利益を生もうが破滅を導くことになろうがほぼ100%実行されてしまいます。
例えば「東京をミサイルで攻撃して我らの力をみせつけよう!」などという思いつきの行動でも、指導者が実行しろと言えば大体が実行されてしまうわけです。
誰が考えてもそんなことをしたら世界的に孤立して国が滅びるのは火を見るよりも明らかなことであっても、決めるのは多くの人ではなく一個人です。
個人、個人の考え方など人それぞれであって後先考えずに行動する人など山ほどいることでしょう。
そんな個人的な考え方で情勢が変わってしまう危険が日本のすぐ近くにあるということがまさに脅威といえるのではないでしょうか。
とりあえず北朝鮮が浅はかな行動に出ないことを心から祈ります。