ひふみんの愛称でおなじみの「加藤一二三」九段が引退されたそうです。
以前から加藤九段が今年中には引退するという話は聞いていましたが、本人が今年中に引退を決めるのかな?と思っていました。
しかし、ニュースによると「引退になった」との事。
棋士になるのにはとても大変だから、棋士に一旦なれば引退させられるなんていう事は思ってもいませんでしたので、ちょっと衝撃でした。
気になったので将棋界の引退制度についてちょっと調べてみました。
1.まずは順位戦について
現役の棋士は「順位戦」か「フリークラス」の2種類に在籍することになります。
順位戦にはA級・B級1組・B級2組・C級1組・C級2組の5クラスがあり、A級から順に強い棋士が並びます。
このA級でトップになった棋士が「名人」と七番勝負を行い、勝った方が次の「名人」になります。
この「順位戦」にいる間は引退という規定は無く、何歳になっても現役の棋士として活躍することが出来ます。
2.フリークラスとは?
「順位戦」に属していない現役の棋士は「フリークラス」に在籍することになります。
「フリークラス」に在籍となるケースは次の3つ。
1.順位戦の一番下のC級2組から降級した棋士
2.奨励会三段リーグで次点を2回取った棋士
3.「フリークラス宣言」をした棋士
1、2のフリークラス棋士に関しては60歳で定年、引退となり、3のフリークラス棋士は65歳で定年、引退となります。
定年に達していない棋士の場合は既定の年数内にC級2組へ昇級すれば引退しなくても良いそうです。
3.60歳以上でフリークラスに降級しても現役を続けられる
たとえ定年の60歳以上で「フリークラス」に降級しても、棋戦(タイトル戦)で指定のクラスに在籍していれば次の年の棋戦に参加する事ができ、引退とはなりません。
例えば竜王戦では5組以上にいれば次年の竜王戦にも参加できるのですが、6組に降格した時点で「フリークラス」在籍の棋士は参加が出来ません。
他のタイトル戦でもほとんどがベスト4以上という厳しい条件なので、なかなか難しい条件である事は間違いありません。
・加藤九段のケースは?
加藤九段は第75期順位戦(2016年)でC級2組から「フリークラス」への降級が決定していました。
すでに定年年齢に達しているため、この時点で「順位戦」への復帰はありません。
そして6月20日に行われた第30期竜王戦ランキング戦6組昇級者決定戦で敗れたため、次年の竜王戦に参加する権利も無くなり、引退となったようです。
最後の対局となった当日は感想戦も断り、報道陣を振り切るようにタクシーで帰宅されたそうです。
「現役」にこだわった加藤九段の悔しさがにじみ出るようなエピソードです。
・感想&まとめ
26歳までに四段に昇段できなければ棋士になることすら出来ない厳しい将棋の世界。
棋士になってからも自分を磨き続けなければ棋士でいる事すらできないとは、勝負の世界はやはり過酷ですね。
棋士を引退しても日本将棋連盟を退会しなければ「引退棋士」として棋士を名乗ることはできます。
しかし、あくまでも「現役の棋士」にこだわった加藤九段の生き方や姿勢に拍手を贈りたい気持ちでいっぱいです。
今後は解説者やバラエティ方面で活躍されるのでしょうか?公式戦での藤井四段との再戦はかなわない夢となりましたが、何か別の企画などでぜひ実現していただきたいものです♪